営業所の設置場所を選定する際、用途地域の確認は非常に重要です。用途地域とは都市計画法に基づき、土地の使用目的を制限する制度です。運送業の事務所を設置するためには、事業活動が適法に行える地域を選ぶ必要があります。
営業所を設置する際には、まず自治体の都市計画課に相談し、設置予定地がどの用途地域に該当するのかを確認することが重要です。
- 自治体のウェブサイト:多くの自治体は用途地域の地図をオンラインで提供
- 都市計画課への問い合わせ:用途地域の詳細な規定を確認
- 不動産業者との相談:用途地域に詳しい不動産会社に相談
用途地域の選定を誤ると、営業許可が下りない可能性があるため、慎重に進める必要があります。
一般貨物自動車運送事業を営む際、5台未満の事業規模であれば一部の特例が適用されます。小規模事業者向けに緩和された規定を活用することで、営業所設置の負担を軽減できます。
5台未満ルールの適用要件
要件 |
内容 |
営業所の規模 |
小規模営業所であること |
車両台数 |
緑ナンバーの保有台数が5台未満 |
整備管理者の配置 |
兼任可(専任不要) |
運行管理者の配置 |
他の事業所と兼務可能 |
5台未満ルールを活用するメリット
- 設置コストの軽減:専任の整備管理者・運行管理者を置く必要がないため、人件費削減につながる
- 用途地域の適応範囲が広がる:大規模な施設を必要としないため、より自由な場所選定が可能
- 迅速な営業開始:許認可手続きが簡素化され、スムーズに営業を開始できる
ただし、5台未満の営業所であっても、適用される法規制が異なるため、必ず行政書士や運輸局と相談のうえで手続きを進めることが推奨されます。
営業所を設置する際に、事務所の登記が可能な用途地域を選定することも重要です。
用途地域ごとの登記の可否
用途地域 |
事務所登記可否 |
注意点 |
第一種低層住居専用地域 |
✕(不可) |
住宅目的の地域のため、法人登記は不可 |
近隣商業地域 |
〇(可能) |
一般的なオフィス業務のみ |
準工業地域 |
◎(最適) |
物流施設と併用可能 |
工業専用地域 |
△(限定可) |
営業所単体での登記は不可、工場併設なら可能 |
営業所の登記が認められない地域で法人登記を行うと、登記後に移転を命じられることがあるため、事前に十分な調査が必要です。
プレハブやトレーラーハウスを活用することで、低コストかつ短期間で営業所を設置することが可能です。
プレハブ・トレーラーハウスのメリット
項目 |
プレハブ |
トレーラーハウス |
コスト |
低 |
中 |
設置期間 |
短期間 |
即日設置可 |
移動可能性 |
× |
〇 |
用途地域の制限 |
あり |
比較的自由 |
導入事例
- 地方都市の小規模営業所
- プレハブを利用して5台未満の営業所を設置
- コストを抑えながら営業許可を取得
- 都市部の仮設営業所
- トレーラーハウスを活用し、用途地域の制限を回避
- 必要に応じて移動可能な営業所として運用
プレハブやトレーラーハウスを導入する際には、自治体の条例や建築基準法を確認し、適法に運用することが重要です。
営業所を設置する際、都市部と地方では適した立地条件が異なります。
都市部での営業所選びのポイント
要素 |
詳細 |
交通の利便性 |
高速道路や幹線道路へのアクセスを重視 |
用途地域の確認 |
事前に都市計画課に相談し、制限のないエリアを選定 |
コストの比較 |
賃料が高いため、プレハブやシェアオフィスの活用を検討 |
地方での営業所選びのポイント
要素 |
詳細 |
土地取得のコスト |
比較的安価なため、広い土地の確保が可能 |
物流の効率化 |
大型車両の進入が可能な立地を選ぶ |
従業員確保 |
近隣の雇用環境を確認し、人材確保が可能か検討 |
都市部では交通アクセスを重視し、地方では土地取得コストと物流効率を考慮することが重要です。